同じ職場環境にいるにもかかわらず、人によって仕事の取り組み方にギャップがある事を感じることがある。自分の一分一秒全てを仕事に注ぎ込むAさん、ほとんど自分の席に座ることなくいつ仕事をしているのかつかめないBさん等々、会社には様々な人が存在する。働く時間に応じて、賃金は支払われる事になるが、誰もが納得する賃金のルールは存在するのだろうか?
AさんやBさんの働いている会社には、働いた年数が多ければ多いほど、賃金が増えていくルールがあるとする。Aさんの方が、Bさんよりも何年も早く入社している場合、当然Aさんの賃金の方がBさんよりもいくらか高くなる。この場合は、Aさん、Bさん共に、会社の賃金ルールをすんなり受け入れると予想できる。
しかし、逆の場合はどうだろうか。Bさんの方がAさんよりも早く入社している場合、Bさんの賃金がAさんの賃金よりも高くなる。Bさんは、会社の賃金ルールを受け入れると予想できるが、Aさんはあっさりと受け入れることができるだろうか?おそらく、AさんはBさんよりも自分の方が一生懸命仕事に励んでいるという認識があるため、会社の賃金ルールに納得することはないだろう。
働いた年数に応じて賃金が増えるというルールは、生活をしていく上での安心感を与えるメリットはあるが、働く人のモチベーションUPにはつながらない。特に、仕事を一生懸命している人にとっては面白くないルールである。
会社は働く人に気持ちよく仕事をしてもらうために、『能力』に応じて、『職務の重要度』に応じて、『目標の達成度』に応じてなど、あれこれ試行錯誤して賃金のルール作りに励む。そして、評価制度を取り入れる。だが現実には、誰もが納得する賃金のルールや評価制度の運用は難しい。私自身も多くの職場で、様々な賃金ルールを体験してきたが、一緒に働く人の納得した顔よりも納得できない顔を多く見てきた現実がある。
私の勤める会社でも最近賃金ルールが刷新された。まだスタートしたばかりということもあるかもしれないが、働く人皆が大絶賛するルールとは言いがたく、何がどう変わったのか実際よくつかめていないのがホンネである。働く人の仕事への意欲が上向きに変わる特効薬のような賃金ルールは存在しない。勿論、会社の誠実さ、思いの強さや、働く人への伝え方によって変わる事もあるとは思うが。
最近思うことに、働く人一人一人が毎日何を考え仕事に取り組んでいるのか、何を求めて仕事をしているのか、どのようにしたら毎日をイキイキと過ごすことができるか等、職場の一人一人に目を向ける事が何よりも大切な気がしている。お互いに一緒に働く仲間に目を向け、ときには対話することで、何を考えているか少し分かる気がするし、そこにそれぞれの会社にあった賃金ルール作りのヒントが見つかる気がしている。それを地道に繰り返していくことで、仕事の質が高まり、職場の環境が過ごしやすいものになっていく、その先に会社に合う良い形の賃金ルールがあるような気がしている。
自分が何を大切にして仕事をしているのか、生きているかを考え、それを隣の人と伝え合うことがまず自分にできることであるように思う。